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演劇ワーク授業サンプル(演劇メソッド100から)
生き生きとした自分を取り戻す

1. 目的
この授業の目的は、受講者が体験を通して「自己を解放し、ありのままの自分を肯定し、自己を再認識する」ことです。具体的には、演劇のメソッドを用いて、「自分らしく」振舞うことを阻害している要因に気づき、エクササイズを実践することで、生き生きとした本来の自分を取り戻します。本時は、その入り口として、大きな声を出すことを目標にしています。

2. 対象
中学生以上 /10 〜 50 名

3. 時間
トータル : 120 分
導入(5分)/ 目標の提示(5分)/ ワーク(105分)/ まとめ(5分)

4. 会場の広さとレイアウト
広さ 120 m²程度(大きな声を出してもよいことが条件) レイアウト(以下の図を参照)

3-2-2_2

3-2-2_1

* 文中の F はファシリテーター (facilitator)を指す。
*「本時」とは「1 コマの授業そのもの」を指します。
基礎 A

レイアウト図1
(人数が多い場合は二重の輪になる)

目標:大声を出す
(目標は目的を達成するための具体的な手段として、ここでは定義する)

Fはグループをまわりながら、グループの話し合いをチェックする。

受講生からいろんな解決法が出るかと予想されるが、それらを否定せずに、残りの時間で、しかも、この場所で簡単にできることを考えさせる。

本時の目的:大声を出す

導入
【5分】
Fの自己紹介(本日の目標に関連する経験談を盛り込む) 目的の提示

目的の提示
【5分】
「人前で自分らしく振舞う」を白板に書く。

見つめ合い
【5分】
Fは「2人1組になる」よう指示した後、ワークの説明をする。
「2人1組になったら、なるべく近寄ってお互いに1分間見つめ合う」と指示。
振り返り(グループ)「感想を述べ合う」よう指示する。

気づきと課題の発見
【20分】
Fは「各グループで述べ合った感想をシェアする」ことを告げ、その感想を聞く。
[感想例]
・こんなに長く見つめ合ったことがなかったので居心地が悪かった。
・自分の心が見透かされているようで恥ずかしかった。
・相手にどう思われているか気になった。

[ポイント]
・Fは上の感想から、人から見られることは心身にどのような反応をもたらすかを聞き、「人目」が「自分らしくふるまうこと」の 障害となっていることに気づかせる。
・Fは本時の目標である「人前で自分らしくふるまうにはどうしたらよいか」と質問をして、この時間内にできる解決法は ないかを考えさせる。
・Fは経験談を交えて「大声を出す」ことが自己解放につながり、 人前で自分らしく振舞うことの解決の手立てになることを提案する。


自分の声に出会う

【25分】
Fはその場で大きな声を出すように指示する。
Fは、大きな声が出せたかを受講生に聞く。

[感想例]
・やはり人目が気になって大きな声が出せない。
・のどに詰まった感じで大きな声が出せない。
・いままで大きな声を出したことがないからだせない。

[ポイント]
・Fは、声の出ない原因を身体的なことに限定して、声を出すための身体リラックス法を伝授する。
・二人一組になるように告げ、「二人一組。握手をした形から互いに引っ張り合いながら、声を出す」ように指示する。
・Fは受講生に感想を聞いて、下腹から声が出たかを確認する。

大きな声の出ない原因を心理的側面と身体的側面を整理する。

Fは手本を見せる。

メソッドNO22
Fは見本を見せる。
Fは見回りながら、力の入れ具合などを指導する。


呼びかけ

【20分】
Fは「いよいよお待ちかねのお芝居をしてもらいます」と伝え、状況の中で演技をしてもらうことを告げる。
Fは、受講生に3人一組になるように告げ、エクササイズの状況を説明する。

場所: 街中
場面: 別離
相手 : 現実世界で、いまいなくなったら一番悲しい人を想定する
行為: その人の後ろ姿に向かって、大声で叫ぶ
言葉: ありがとう、ごめんなさい、さよなら

Fは図2を板書し、その体系になるように指示する。

A: 呼びかける人
B: 呼びかけられる人
C: Aをサポートする人

演劇的な雰囲気を出すために街中という状況を選んだ。人(受講生)がたくさんいる中で、なりふり構わず、大きな声で思いのたけを伝える課題である。
人数が多い場合は、入り組んで構わない。その方が、街中であるというシチュエーションに合う。
呼びかけられる方の人Bは後ろ向きに立つ。呼びかけの言葉が大きな声で届いたら、振り向く。呼びかける人Aの傍らで サポートするCは、Bが大きな声が出るように援助する。大きな声が出ない場合は直前にやった「引っ張り合い」のエクササイズをして、サポートする。役を替えて、交代で行う。
演劇的な雰囲気を出すために街中という状況を選んだ。人(受講生)がたくさんいる中で、なりふり構わず、大きな声で思いのたけを伝える課題である。

時間の関係上、呼びかる回数は一人5回と決めておく。
Fはそれぞれのグループを見回りながら、アドバイスをする。


振り返り(グループ)

【5分】
3人で簡単に振り返りを行い、感想を述べ合う

振り返り(全体)
【30分】
Fは、受講生に、まず本時の目的「大きな声」は出せたかを確認し、その時の感想を聞く。
[感想例]
・腹の底から声が出た。
・場面の中に入り込むことができ、周りの人のことは気にならなかった。
・相手に声を届かせようと集中した。
・思いっきり思いを出し切ったのですっきりした。
・自分の中にこんなにエネルギーがあるとは驚いた。

Fはここで、相手に呼びかけている人の様子をサポート役のCさんに聞く。

[感想例]
・体が一生懸命だった。
・独特の動きがあった。
・必死さが伝わってきた。
・人目を気にしている様子がなかった。

[ポイント]
・Fは、出た感想・意見をまとめ、なりふり構わず一生懸命しているときには、その人本来の動きが出るものであること、そして、その姿にその人の個性が宿ることを受講生に理解させる。
・Fは、みんなが盛り上がっているようなら、みんなで一緒に自分の思いを言葉して大きな声で叫ぶことを提案する。


まとめ

【5分】

*能役者の最初の稽古は、体全体を使って大声を出すことであるという。自己のエネルギーすべてを声に出すことで、表現力の基礎をつくる。
Fは「自分らしく振舞うためには、相手に何かを伝えようとする 熱い思いが必要です。同時に、人目を気にせず、何かに向かっている 時こそ、本来の自分が出るのですね。」等の感想を述べる。
* 無我夢中で何かをしているときが、一番個性的な自分である。

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