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教師-生徒関係とは悪く言うと、権力関係である
2014/12/11 塾長ブログより
 
教えることの盲点
 

そもそも、教えるためには、学ぼうする人がいなければならないのは自明のこと、しかし、その自明のことを学校は、自明がゆえに見えなくしている。

新米の教師であっても、当たり前のように、教壇に立つ。教えることに何の疑問を抱かずに生徒を前に先生としてふるまうことができる。

大学出たての新米が先生と名乗れるのは、制度の中で甘やかされているだけである。

僕もそうだったから、決して偉ぶって言っているのではない。まして僕はできそこないの教師であったのでなおさらである。

しゃちこばった言い方をすると、

教えることが可能になるためには、学ぶことの必要性を感じている人がその場にいなければならない。そして、その人たちが、「この人なら」と自ら選んだ人を先生と呼び、教えを乞うという条件が前提である。

学校では、そこいら辺の手続きが省略されている。

すなわち、教師-生徒の関係が先にあって、教える-学ぶの関係が蔑ろにされているのだ。

教師-生徒の関係は制度であり、一方が他方を強制する、いわば権力的関係である。

対して、教える-学ぶは場の出来事であり、互いに触発しあう相補的関係である。

僕は、ことをただ難しい言い回しにして満足しているのではない。そうではなく、この似て非なるものの違いを明確にしない限り、教えることに対する僕の問題は、その観点がぼやけてしまうから、あえてこの二つの関係を比べられるように定義してみたのである。

とはいえ、いきなり論理的に解きほぐしてみたところでことが分かりやすくなるとも思えないので、ひとまず僕の若かりし新米教師の頃のことを振り返ってみようと思う。
 
僕の新米教員時代
 
教員試験は通ったものの、大学でろくに勉強しなかった僕は教え方はもとより、教科を教える自信が全くなかった。

大学時代は、小説を読んでは酒浸って、憂さ晴らし程度の手頃な放蕩で遊び呆けて、少なからず「文学」をかじった気分になってはいたものの、当時の僕の実力のほどで教えることなどとてもできたものではない、本当にそう思っていた。

しかし、僕は教師になってしまった。言い訳がましく聞こえるかもしれないが、決してなりたくてなったのではない。そのあたりの消息は愚放塾サイトの「塾長インタビュー」に書いた。

なるほど、教えるとなると、広範な知識を背景に学ぶものの興味関心に応え、学ぶものの力を引き出さなければならない。そんな芸当は、どこをひねっても当時の僕から出てくるはずもなかった。

僕ときたら、指導書を頼りに「ツケヤイバ」の授業を消化していくのが、やっとのありさまだった。毎日の授業が自転車操業でまさに消化試合をしているようなもの、これで果たして先生といえるものかという率直な不安を内心抱きながらも、下手な態度を見せるとなめられやしないかと自分をごまかしていたというのが実相だった。

まして、人前に出ると赤面し、冷や汗が止まらない、小さいころからのお墨付きのあがり症のメッキはすぐ剥げ落ち、僕は生徒からダメ教師の烙印を押された。

それでも、なんとか教師ができたのは、教師-生徒関係の制度の中で、教師が権力の座にあったからにほかならない。

生徒はいくらダメ教師であっても、一方では評価を下す人として見上げている。教師も、自分の実力のなさ、ダメさ加減を棚に上げて、評価を散らつかせるような姑息な真似をして急場をしのいだりする。

 
出口を求めて逃げ出したから、いまがある!
 

その権力関係を生徒も教師もいやおうなく、いや、無意識のうちに容認しているから、僕のように、経験が全くない新米で、しかも実力不足の教師であっても、まかりなりにも教師を続けることができたのだ。

しかし、長くは続かなった。自信喪失状態に陥り、鬱々としてやっとの思いで教師生活を続けては、自分の人生そのものがまがいもので終わってしまうのではないか、切羽づまった僕は、そんな思いを抱え込んでしまま、見えない出口を求めてもがき苦しんだ。

ひとつの出口が演劇だったことは僕にとって幸運としか言いようがない。

思い余って腰砕けのような恰好で劇団の門を叩いた経緯も「塾長インタビュー」に詳しく書いたが、そのことも踏まえて、今回はもうひとつの出口について述べてみようと思う。

教師-生徒の関係から、教える-学ぶの関係への移行、それは、演劇の経験によって「場」を実感したことにより、僕は「教える-学ぶ関係」のとば口に立つことができたのである。
 
参考記事:
→些細なことを軽視して学級崩壊を経験:「教師の皆さん、些細なことを大切に!」
→人前恐怖症の僕が教師になった訳:「僕が教師になったやむにやまれぬ事情」
→ダメ教師奮闘記「塾長インタビューQ13:先生をしていた時に、なにか思い出があったら教えて下さい」
→厳しい昨今の教育現場、教師の生き方を提案します:「教師の課題を解決する、演劇教育コミュニケーション・メソッド」

 
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