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なんとまあ、美しくて愛くるしいんだ!
2015/1/17 塾長ブログより
 
ある寂しさ
 
今日から畝作りを開始。新しい畝を作ろうとしている場所は,かつてゴミ焼き場だったらしく、昨日までの草取り作業では面倒な作業を強いられた。

鍬を入れて草の根を掘り起こすと、ビニール袋の切れ端、アルミ製品やポリ容器の破片、錆びた鉄器の残骸など、あらゆる類のゴミが出てくる。

まあ出てくること!

その都度小さな飴袋まで丹念に取り除くのにかなりの手間暇を要したのだ。

そして、意外だったのは、その焼残りのゴミなかから、夥しい貝殻が出土したことである。
しかも貝殻の量が、「ここは貝塚なのか」と思わせるほど。

いま借り受けている愚放宿舎の前居住者が船大工だったことを思い出し、海に面したこの村がいまよりずっと漁が盛んだった頃に、廃棄した多量の貝殻にちがいない、それらがこれから農地にしようとする土地から大量に出た、それだけのことだが、今日も、その遺骸をいやがうえにも目にする。畝作りで土を盛るスコップのなかで銀色の貝殻が鈍く光っている。

貝殻のひとつひとつの薄汚れた光沢にこの漁師村の移り変わりを見た思いがするのだった。おそらくは食した貝を捨てたというより、網にかかった売り物にならないようなものをここに捨ててゴミと一緒に焼いたのではなかろうか。

村の過ぎし頃に思いを馳せながら、春のような日差しの中で作業していると、突然、細長くてくねくねした動いているのが目に飛び込んできた。僕は意識に上る前に飛びのいていた。
 
突然の訪問者
 
昨日紹介した巨大ミミズ君よりはるかに太くて長いやつ、生理的に受け付けないあの生き物が鎌首あげて、こちらをいかつく威嚇している。茶色の縞模様が日に照らされて輝いている。

その正体は、はたしてご多分に漏れず、正真正銘のヘビであった。

近くで作業している、ヘビ好きの塾生のA君の方へ駆け寄り、驚き顔で蛇がお出ましになったことを告げる。矢継ぎ早に毒があるのかと聞く。

塾生君からはあいまいな返事しか返ってこない。少々苛立った僕は意を決して、手頃な棒を拾うと、おそるおそるへびに近づき、及び腰で、棒を持った手をできるだけ延ばしてヘビをつつく。

首尾よく退散してもらおうとしたが、意図に反して、こやつ、なかなか気性が荒い。真っ赤な口を開いて、果敢に棒先に立ち向かってくる。なんとか追い返そうと、夢中になってヘビと格闘していると、

『ヘビがかわいそう』と声がする。

はっと我に返る。傍らで見ていたA君の声だった。たしかに大人げない。

30センチにも満たない蛇に対して、僕は躍起になって乱暴を働いていたのだ。虫唾が走るほど毛嫌いしていたとしても、相手は小さな生き物にはちがいない。

人間の年齢に換算してもせいぜい20歳前後だろう。冬眠中を起こされて迷惑千万の若いヘビに対して失礼を働いたのは僕なのだ。悪いのはむしろこちらの方なのに・・・
 
意外な感慨!
 
A君、インドの蛇使いよろしく、巧みに棒でへびを絡め取って、道路を隔てた林のなかへ逃がしてやった。しやなやかに棒に巻き付きながら、頭をぴんと張り出し、こちらを睨んでいる。

その姿を見て、僕はある感情に包まれていた。意外や意外である。いままで蛇に抱いていた先入見が一気に吹っ飛んでいった。

「なんとまあ、美しくて愛くるしいんだ!」

スレンダーでしなやかな姿態、向こうっ気の強さは、なんだか、うら若き女性の小悪魔的な魅力を髣髴させるものがある。僕は付け入る隙を与えない激しさをそなえた非の打ちどころのないその美しさに魅了されてしまった。
 
参考記事:農業は楽しい。
「愚放塾の農業教育」
「『いのち』を分かち合う農業教育」
「そうじゃない、ただ草刈りがしたいだけなんだ!」
 
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